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言葉の力を大切にする男が
切り拓く
学びの新境地

PROFILE

株式会社 富士通ラーニングメディア

共創人材育成サービス部

01クリエイター

城能 雅也

2002年入社。先生に興味や疑問に思ったことを真っ直ぐにぶつけて困らせるような子供だった。先生との関わりで満たされなかった想いや、反発心を糧に、社会人教育の道に進む。富士通ラーニングメディアに入社後は、富士通へと出向し、エンジニアとしてのキャリアを積み重ねる。その後、ITエンジニア教育の分野で実績を重ね、日本国内ではまだ数がほとんどなかったフューチャーセンターの先駆けといえる、共創の場『CO☆PIT』を2010年に提供し、イノベーション人材のための場を創ってきた。現在は、個人と組織の可能性を最大化させるメソッドの考案に挑む。

※記事は取材当時の所属役職のものです。

あえて飛び込んだ
社会人教育というフィールド

小学生の頃から先生や授業が大嫌いだったという城能氏。純粋な疑問を質問しても、授業が止まってしまうからと答えてくれない先生の授業スタイルや、暗記型で型にはめる日本の教育にも違和感を覚えていたという。ただ、決して学ぶことが嫌いだったわけではなかった。むしろ、色々なことを知りたかったし、学びたかった。

普通なら、ドロップアウトして終わるだろう。しかし、城能氏はあえて教育業界に飛び込むという選択をした。

「嫌いだからこそ、変えていきたいという気持ちがどこかにあったと思います。ただ、ひとつの科目に縛られる学校の先生ではなく、広がりのある社会人教育に魅力を感じて、学ぶことにこだわって人のキャリアや成長に関わっていこうと富士通ラーニングメディアを選びました。ここで興味・関心を持ってしまったのが、戦後の社会のIT化を支えてきた富士通メインフレームでした。IT化の歴史や独自技術や原理を深く学び、知りたいと思ったのです。」

しかし、この分野の虜になってしまった城能氏。興味のままにもっと深く知りたい、色々な経験をしたいと強く思い、富士通本社でのエンジニア経験を願いでた。

「エンジニアとしてのキャリアがスタートしました。富士通というフィールドだからこそ経験できる社会的インパクトのあるプロジェクトは、得るものが多かったです。楽しかったですし、それ以上に肝を冷やす経験もたくさんしました。その中で気づいたのは、高い技術力をもった本物の集団がいる大企業だからこそ提供できる新しい価値があると思ったんです。一方、高度な技術を持つエンジニア同士のつながりがもっと強くなり、新しいことを生み出すことを面白がることが組織的にできるようになれば、更に社会に貢献できるのではないかと、感じ始めました。」

優れた技術やアイデアを持っていても、それを活かす場やきっかけがない。真剣に何かを変えたいと願う情熱を持った人たちと大勢出会った。彼らが持ち合わせている『言葉』を大切にし、価値へとつなげていくことを実現したい。このとき思っていたことが、後に確信となる。それが、CO☆PITであった。

無邪気で愚直な大人でありたい

CO☆PITは、城能氏の考案から生まれた共創空間である。イノベーションを創発するための企業間コラボレーションや新しいビジネスモデルの創出に向け、互いに切磋琢磨し、個と組織が成長するための場である。CO☆PITには、大人が常識という名の鎧を脱ぎ捨てて、子供のように無邪気にいろいろなことに興味・関心を抱きながら、お互いに学び、チャレンジができるような場にしたいという思いが込められている。1人ひとりが『言葉』を紡ぎだし、『個と場』の力によって、共に価値を見出していこうという意味合いも含めている。エンジニア時代に得た気づきがベースとなり、自らがファシリテーターを務めることで未来を変えるイノベーションを創発する場を構築したのだ。

しかし、滑り出しは思うようにいかなかった。教える・教わるこということが当たり前の教育分野で、お客様や社内を含めて、理解を得るのは容易ではなかった。「直感をもとに、最初に箱をつくってしまったんです。自分でも、この場の価値を上手く説明することができなかったので、しばらくはクライアントもつかず、赤字の状態でした。営業すれば一蹴され、社内から思うように協力が得られず、心がポキリと折れることの連続でしたね」

それでも諦めず、地道な営業活動を続けたという城能氏。ブレイクスルーとなったのは、自社製品をアピールする展示会で、『まさに、こういう場を求めていました』と共感して下さった1人のお客様との出会いだった。それが一気に展開していくキッカケとなった。あれから7年。いまでは新しい挑戦をしたい多くの人や組織に共感がえられ、数多くの人材を輩出している。

『個性』を尖らせ、活かせる『組織』へ

CO☆PITというプラットホームを軌道に乗せた城能氏の興味は、早くも次に向かっている。共創の手前にある、『個と組織』の力を引き出すメソッドだ。

「新しいことを生みだす人って、なにかを突き詰めていくことができる人だと思うんです。アイデアの前には必ず問題意識があって、その意識はひとつのことを極めるプロセスの中で生まれるものだと思うからです。そう考えたとき、場を提供しているだけでは不十分だと考えるようになりました。突き詰めて、必死にもがいている『強い個』がいて、依存し合わずにつながっていく必要があるんです。私の思いとしては、同じような人を標準的に育てていくのではなく、誰もが持ち合わせている個性をより尖らせることに注力していきたいです。個性を活かしあえる個と組織が本気で新しいことに取り組む経験は、得られる結果はどうであれ、未来の果実へと変わっていくと信じているからです。遠回りかもしれないが、チャレンジや経験を積み重ね、みんなで泥んこになって、愚直に学んでいくこと。個人も組織もやり切ることにこだわることで、新しい力に変えていけると思っています。それが、イノベーションを創発するうえで大切な個と組織の体幹を鍛えることにつながるのではないかと考えるようになったんです。」

「まずは、自分自身もサラリーマンとして、ひとつのことを突き詰めて、やり切っていこうと決めています。突き詰めたことの先にある、新しいものを生みだすために必要な個と組織のあり方を探っていきたい。自分も含めたサラリーマンがもっとサラリーマンを楽しむために。」

日本の教育に対するアンチテーゼからはじまった城能氏のキャリアが、教育へと回帰しようとしている。本気でやり抜く覚悟でいる。その先に生まれる新しい価値とは、どのようなものだろう。大いに期待したい。