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どんな仕事にもプラスαを。
そこからイノベーションが生まれる。

PROFILE

SCSK株式会社

AMO第三事業本部
センターサービス第二部 開発課

シニアマネージャ

坂田 陽一郎

北海道大学大学院修了。1999年入社。学生時代、海洋物理の研究で数値シミュレーションプログラムを書いていたことがきっかけでSE職種に興味をもち、 SCSKに入社。クライアントのネットワークやサーバー周り、セキュリティの仕事を経て、コンタクトセンター向けクラウドサービス『PrimeTiaas(プライムティアーズ)』を立ち上げる。現在は、オリンピック開催を視野に入れながら、日本を訪れた外国人ともシームレスにつながることのできるコミュニケーションインフラの構築に尽力している。

※記事は取材当時の所属役職のものです。

クライアントの課題こそ
イノベーションの源泉

コンタクトセンターを短期間かつ、低コストで立ち上げることができるクラウドサービス『PrimeTiaas(プライムティアーズ)』を手がけた坂田氏。ユーザーがネットワーク経由でソフトウェアを活用するSaaS型サービスの勃興や、企業とお客さまの結びつき(Customer Engagement)を深めるコンタクトセンターの新たな可能性を予見したかのようなサービスは、10年前の立ち上げ時より、いまのほうがその革新性が感じられるといえるだろう。

「立ち上げ当時、クラウドという言葉はまだ使われていませんでしたね。ちょうどASPとかSaaSという言葉が出回りはじめたころで、SaaSのコンタクトセンター版ができないだろうかと考えたのがきっかけでした」

しかし、新しいサービスや企画を作りたいという気持ちはなかったという坂田氏。

「クライアントが抱えるさまざまな課題を解決しようと試行錯誤するなかで、いつの間にか新しいチャレンジをしていたという感覚です。それは特別なことではなく、あたりまえのこと。どんな仕事でも、既存の商品やサービスに当てはめて考えることはありません。クライアントの課題に最適解を提示しようとすれば、必然的に新しいチャレンジが必要となる。『PrimeTiaas』もそうした流れで生まれたものでした」

そういう意味では革新的でもなんでもない。ごく普通に仕事をしているだけだというのだ。

プラスαがなければ意味がない

坂田氏がこうした考え方をするようになったのは、水産学部で海の研究をしていたときに出会った恩師の影響だという。

「すごく熱心で、厳しい先生でした。『プラスαがないと、やる意味がないよね』ってさらりと言う。でも、実際にその通りで、研究って前例通りでは意味がないんです。0から1ってわけでもないですが、過去の研究をベースに自分なりに新しい要素を加えていく。それがなければ、論文にもできない。そうした大前提に立って研究を重ねてきたので、社会に出ても、課題に対し何かしら新しい要素を加えることが自然だったんです」

どんな仕事にもオリジナリティや一歩前進させる要素がなければ介在価値は発揮できない。それは決してコツコツやることに意味がないということではない。地道なアプローチの中にも新しい視点や取り組み、挑戦が必要なのだという。

「大きな会社だと、そういうことを意識しなくても仕事はまわってきますし、言われたことを確実にこなしているだけで評価されることもあるでしょう。けれど自分は、そうした環境でも介在価値を発揮することを意識してきました。替えがきかない働きをしたい、自分にできることを見つけて最大限のパフォーマンスを発揮したいという思いがずっとあったんです」

坂田氏が自身を革新的人材ではないと話す根底には、挑戦があたりまえとなっている日常があるのだ。

大企業のほうが挑戦しやすい

2020年のオリンピックを控えたいま坂田氏が目指すのは、母国語が異なる人とも便利につながることのできるインフラの構築だという。実現に向け、社内外を問わずにアイデアを交換し、アクションにつなげている最中だ。この挑戦においても、恩師との関わりで身につけたスタンスが活きているというが、一方でSCSKの企業理念に背中を押される部分も大きいという。

「前例を問わずに『チャレンジ』せよというのは、SCSKの企業理念で謳われていることなんです。会社のトップが言ってくれているので、こちらとしては自由にチャレンジできますよね。おかげで、ずっと好きなことをやっている感じです」

しかし、好きなことをやるためには、自分を追い込むことも必要だという。

「好きなことだけやるといっても、自分の専門分野に閉じてチャレンジしようというのとは違います。むしろ好きなことを実現するには、自分が得意とすること、これまで磨いてきた武器だけでは充分でないことも多く、新しい領域を積極的に勉強し、吸収することも大切です。勉強するのも仕事のうち、成長する責任は自分にあると思っています」

そして、と言葉を重ねる。

「イノベーションというとアイデアの発露、瞬発力が大切に思われがちですが、私は継続力のほうが大切だと感じています。5年くらい前に考えていたことが、いま形になるということも珍しくなく、思い描いたビジョンを信じ続け、成果が出るまで定期的に取り出しては磨きつづける努力がものをいうと感じています」

大きな企業はルールが多くてチャレンジしづらいという人がいるけれど、そんなことはないと語る坂田氏。失敗しても多少のことではクビにならないし、給料も減らない。スタートアップに比べリスクは少ないので、組織にいるメリットを大いに利用して今後も新しいことに挑みたいという。そんな坂田氏のこれからが楽しみである。