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一任されたEC事業。
天性の人たらし力で
新サービスを作りあげる。

PROFILE

株式会社ぐるなび

加盟店営業部門 戦略営業ブロック

EC営業グループ チームリーダー

須藤 夕紀子

1997年共立女子大学文芸教養学部卒。2007年、株式会社ぐるなび入社。すぐにトップクラスの営業成績を収め、社内で数々の表彰を受ける。ユニット長、チームリーダーを歴任しメンバーの育成にも注力。2017年よりECサイト部門へ転籍。レストランのギフト商品を企画・提案するなど、サイトに掲載する商品をゼロから作りあげている。新しいサービスや商品を作り、それがニーズにはまり、お客さまから「ありがとう」と言われたときが快感だと語る。

※記事は取材当時の所属役職のものです。

頭の中は、恋愛98%、仕事2%。
そんな私が変わりました。

ぐるなびのECサイト「接待の手土産 秘書が選んだ至極の逸品」が好評だ。現役秘書たちが目利きした質の高い手土産が紹介されており、購入することもできる。2014年からスタートしたこのサービスは反響を呼び、2016年、2017年と2年連続ムック本の出版に至っている。「ぐるなびはレストランを応援する会社。集客だけでなく外販など、レストランの多角的な支援に力を入れています。」そう語るのは須藤夕紀子。営業としてこのサイトを大きく成長させた立役者だ。

須藤氏は2007年にぐるなび入社、加盟店への営業を担当した。前職の頃から営業が好きだったという彼女。入社2年目(1年目は年度途中入社のため審査対象外)に最優秀新人賞、翌年にはMVPを獲得し、さらにその翌年にはリーダーへと抜擢された。飛ぶ鳥を落とす勢いで駆け抜けてきた、まさに営業のプロだ。ここまで聞くと仕事一筋で生きてきたかのように聞こえるが、実は20代の頃はそうでもなかったのだという。

「頭の中の98%が恋愛、2%が仕事という感じで仕事をしていましたね(笑)。最初に入社した会社では営業事務を担当していたんです。営業をすることになったのは当時の上司の言葉がきっかけでした。「お前がデスクにいると社内が楽しいけど、外に行ったらたぶんお客さまも楽しい。新しく営業を採用するよりお前が営業をやって、アシスタントを採用したほうがいいと思う」と言われて、そのまま営業へ移ることになったんです。始めてみると、人に会うことや、数字としてわかりやすく成績がでることなど、営業の楽しさとやりがいを知りました。それから徐々に徐々に、ちゃんと仕事をするようになりました(笑)転職するときには、もう営業しか選択肢にありませんでしたね。」

以前の自分をそう振り返る須藤氏。ぐるなび入社後、彼女の力はさらに加速する。瞬く間に結果を出し、営業として文句のない成果をあげ続けた。彼女が数字を落とすことはない。

「社員が2000人以上いて、営業は300~400人くらい。自分たちが数字をとってこないと、2000人以上の社員とその家族がごはんを食べられなくなる。いつもメンバーにも言ってるんです。経理が金額を間違えたら大問題でしょ?営業が数字をとってこれないのはそれと一緒だよって。」

営業に課せられる数字の意味を彼女は鋭くこう捉える。須藤氏にとって、営業は楽しいだけでも、責任感だけでもない。重責がやりがいを生み出し、楽しさが壁を乗り越えさせる。そんな絶妙なバランスの上に、彼女の功績があるのだろう。

営業数字は落とせない。
でも早く帰りたい。
飲みに行きたい。

ぐるなびは数字にシビアだ。月末と中間に締め日があり、チームとして目標の達成はマストなのだ。

「根本にあるのが早く帰りたい気持ちなんです。早く帰って飲みに行きたい。でも数字は落とせない。そうすると、周りを巻き込むしかないんですね。飲みの席で友達に、みんながお店を紹介してくれたら、その分私が飲みに来れる機会が増えるよ!時間通りにこれるよ!って(笑)。そうやってお願いして自分の周りに小さな営業部隊を作ってまわりました。

とはいえ、業態も顧客層も違うお店へひとつひとつ提案資料を作るのは、どうしても時間がかかります。だから社内にいる時間が長くなってしまいがちなのですが、やっぱり外に行かないと紹介ももらえないし人脈も広がらない。最適なソリューションの提案という“正解”のない仕事だからこそ、出る時間を決め、そこにあわせてスピードをあげていくことも大切だなと思います。」

営業の極意は、周りを巻き込んでいく力とはよく言うが、須藤氏もまたそのセオリーによって数字を作りあげていく。

「よく飲みに行くお店で、そのお店の取引先の酒屋さんと仲良くなって。その酒屋さんから他のお店を紹介してもらったり、私からもお客様を紹介したり。また、お客様には業者さんを紹介したりもします。なるべく自分から先に価値提供することで、何かあれば須藤に相談しようと思ってもらえるよう日々動いています。」

彼女のこうしたスタンスは、は社外だけでなく社内にも向けられる。

「少人数で進めているECサイト部門と違って加盟店担当は何百人もいます。折を見て彼らのリーダーに、今月あと3件、ギフト提案同行お願いね、って頼んだりもしていますね。ギフト商品を扱う部署柄、頂き物が多いので、誰かに何かお願いするときには甘いものを持って行って、これはわいろだよって。」

日頃のこうしたコミュニケーションがあるせいか、周りの人もなぜか彼女から頼まれると嫌な気がしないという。そんな彼女のことを社内では「人たらし」と呼ぶ人もいるのだとか。人とつながっていく力、小さな気遣いを積み重ねていく力。彼女の「人たらしスキル」は営業に携わる者ならみな、ぜひ盗みたい技術だ。

海外販路、外国人観光客、高齢化社会。
EC事業には追い風しかない。

加盟店営業から、ECサイトへと活躍の場を変えた須藤氏。今後のECサイト事業をどのように考えているのだろうか。

「お取り寄せ、デリバリーなど、レストランへの多角的支援は昔からありました。加盟店営業を担当していた頃から、私自身お客様に2店舗目を出すよりも、ECサイトを使って1店舗立ち上げる方が家賃や保証金などの負担がない分、リスクが少ないですよ、と紹介していました。加盟店営業という立場からしても、担当店がデリバリーやおせちで売れ始めると、自分の営業数字も上がります。だから例えば、おせち料理が売れると2月の受注数字が楽になるんですよ。お客様にも自分たちにもメリットのある提案だということを社内にも伝えてきていました。ここの営業の難しさは受注までの距離が長いことですね。まずは商品を自分たちで集めてくる、作り上げていく。そこから始めないと受注も何もないので大変ではあるんですが、一方でお客様と一緒にゼロから作っていけることに楽しさも感じています。ECは、本当にこれから可能性しかない。越境ECで海外へのアプローチも可能です。もともと日本食材は人気がありますし、外国人観光客が今後増えていくことを考えれば、もっと市場は拡大していくと思います。さらに、高齢化社会においてもニーズが高まる分野。年を重ねて、外へアクティブにでかけることがおっくうになった方たちも、同じ食事を家で楽しめるとなればECの需要はさらに高まっていくはずです。」

EC事業の発展を一任された須藤氏。営業で培った知識とスキルを活かしながら、今後は経営戦略やビジネスモデルについても積極的に学んでいきたいと意気込む。

「EC事業を子会社化できるくらい成長させたいですね。時々、冗談まじりに上司のことを社長って呼んで楽しんでいます。社員はまだ私たち2人しかいないんですけど(笑)。」