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チョコレートマニアの心をつかめ。
ゲーム屋ならではのアイデアで。

PROFILE

株式会社バンダイナムコスタジオ

コーポレート統括本部
経営企画部 経営企画課

樺島 脩

2010年金沢美術工芸大学卒、株式会社バンダイ2010年入社。商品企画、開発、人事などいくつもの部署を経験してきたが、所属部署の管轄に関わらず、新規事業の開発に向けて自ら積極的に活動してきた。2015年より現部署。社内外に広くアンテナを張りながら、世の中にワクワクするものを送り出したいと日々奔走している。

※記事は取材当時の所属役職のものです。

スピード感、相乗効果、
どれもがうまくマッチした

「未体験チョコレートスタジオ」は、2018年1月に発足した森永製菓とバンダイナムコスタジオのコラボプロジェクトだ。その第一弾となる商品「チョコレートのフルコース」が、クラウドファンディングで目標額を達成し、リリースされた。

「最初の企画会議の時点で、森永製菓さんとは何かやれるなと感じました。」

何も決まらない時間が続くのを避けるため、初回のアポイント時に樺島氏の方からいくつかの企画を持ち込み、それらをベースに議論を進行した。「ハイチュウのフルコース」という企画を提案したところ、チョコレートソムリエから「チョコレートではだめですか?」と一言。お互いのアイデアが化学反応を起こした。その次の打ち合せのテーブルには、チョコレートの試作品が並んでいた。

「実際に味噌、しょうゆ味のチョコレートを持ってきてくださり、『こういうのは作れます』と。そこでもう、実現できると確信しました。チョコレート作りは森永製菓さんにお任せし、商品の企画部分は、ゲーム会社である私たちが設計するという具合に役割分担、それぞれがすぐに走り出すことができました。さらに、担当者にも恵まれ、お互い社内合意にスピード感があったことも大きいですね。やはり、そこに時間がかかると全体の動きが遅くなってしまうので。他の企業さんの承認の取り方を見ていても、勉強になることがたくさんありますね。」

プロジェクトはまだ始まったばかりだが、樺島氏は確かな手ごたえを感じている。チョコレートに秘められた可能性を、エンターテインメント会社ならではの切り口でプロデュースしていく。今後もマニアの琴線に触れる、おもしろい企画が生まれるに違いない。

社内調整は大事

新規事業担当者というのは、社内から冷ややかな目で見られることもしばしばだ。時に「忙しそうに動いているが、結局何も成果がでていないのではないか?」という声さえ聞こえてくる。ゼロイチのチャレンジは決して甘くないのだが、社内からの視線もまた、甘くはない。社内調整力は、新規事業担当者にとって避けて通れない、いわば必要不可欠なスキルの一つだろう。樺島氏は入社以来、様々な部署を経験してきた。そのことが今、大いに役立っていると言う。

「おかげさまで、採用目線、広報目線、営業目線、事業部目線、あらゆる角度から物事を見られるよう心がけるようになりました。自分たちのやっていることが社内の各部署にとってどんな意味があるのかを伝えられると、賛同してくれる役員も増えてきます。また、問題になりそうなことを予め把握しておけば、プロジェクトを進める前に関連部署に確認をとることもできる。細かいことですが、社内で信頼を得ていくには、こういうことがすごく大切です。」

もともと、何か新しいモノを生み出したいという想いでバンダイに入社した。あらゆる部署を渡りながらも、その想いを忘れることはなかった。社内公募に応募して、表彰された経験もある。しかしそのプランを、実際に事業として作り上げていくのは難しかった。それでも、どうやって新しい価値を生み出していくかを考える日々。彼のそんな姿勢が、現部署の元部長の目にとまり、声がかかったのだ。入社して4年の月日が過ぎた2014年のことだった。

「これまでの仕事の中で先輩や、上司からいろんなことを教わってきたなと思います。例えば、入社当初のメンターからは、企画・開発・営業の基礎を。人事部の採用の仕事では、人材戦略や採用計画など戦略立案の考え方や、社内の人にお願いする仕事が多かったので、どうやって人に気持ち良く協力してもらうかとか。多くの人に会って話した経験から、感覚的に相手がどんな人かを見極めるよう気を付けるようになりました。」

ゼロイチ人材はまだまだ
この会社に眠っている

樺島氏に、後輩の育成について尋ねてみた。

「人に教えるというのは、なんだか違う気がしています。チャレンジしたいことがいっぱいあって、好奇心旺盛な人なら自然と伸びていくと思っています。何かやりたいことがあれば、それに合う人たちと引き会わせてあげる。そしてたくさんの人から学んでいけば、自ずと実現へと向かうはず。方向性がズレてきたら、引き戻してあげればいいだけなので。とにかく自由にやってもらって、違ったら軌道修正、失敗したら、原因を考え、そこから学べばいい。自分が自由にやらせてもらってきたからかもしれないですね。裁量を任されている分、結果を出さなきゃいけないという想いでやってきました。やりたいことをやっていいよと言われているからこそ、信頼を裏切りたくない。途中の紆余曲折はあったとしても、とにかくアイデアを形にして、世の中に出していく。それが僕たちの仕事だと思っています。後輩育成といっても、僕は人様に教えるような人間でもないので(笑)、一緒にやっていければいいのかなと考えています。」

そもそも、バンダイナムコグループに入社する人はみんな面白いことをしたいと熱い想いをもっていることが多いのだと言う。樺島氏は、採用現場で多くの学生がキラキラした眼差しで彼らが思い描く未来を語っているところを目の当たりにしてきた。後輩育成についてのコメントは、ゼロイチ人材が、まだまだ社内に眠っていることを知る樺島氏ならではの声なのかもしれない。