CONCEPT

その人材は、
何かを生み出す。

ベンチャー経営者やフリーランスのような自由人ではない。いわゆる大手企業・成熟した組織に属しながら、組織の論理や過去の常識に囚われず、0から100を生み出し続けている人材。このプロジェクトは、そうした人材=「0→100人材」の行動特性や思考のクセをつぶさにヒアリングし、分析しようという試みです。
どのようなレベルであっても、計画を立てるのも、意思決定するのも、実行するのも、成功するのも、失敗するのも「人」に帰結します。今回私たちは、組織的にイノベーションを生み出すために、あえて技術や業務ではなく「人」に焦点をあてました。「人」視点で、どのようにして新しい事業や思考、行動が巻き起こり、イノベーションの種が生まれているのかを探索的にリサーチしています。

0→100人材とは

  • 無から有(価値)を創り出そうとしている人材
  • 大組織に属しているが、組織内でも異質な動きをしている人材、あるいは特別なミッションを持つ人材
  • 無謀なオーダー、前例のないオーダーに対して“それならあの人でしょ”“あの人ならなんとかする”と、組織内で指名のかかる人材
  • 個人の趣味嗜好ではなく、組織の全体最適と好奇心をベースにして動く人材
  • 健全な“山っ気”(冒険、リスクテイクを楽しむ心)と拡散志向がある人材
  • 議論、企画、評論にとどまることなく、実際にアクションベースでコトを動かしている人材

こうした定義にあてはまる0→100人材を総力取材し、その実像に迫ります。0から1を生み出す0→1人材、というフレーズは耳にされたこともあるでしょう。しかし私たちは、インキュベーションの種を見出すことにとどまらず、種を花にし、事業化されたそのビジネスを持続的に成長させていく、つまり0を100にする人材こそがこれからの組織に求められていくと考えています。もちろんそれは、たった1人で完結する取り組みではありません。「異質性の排除」「出る杭は打たれる」といった、ある意味で大組織特有の「重たさ」と戦い、周囲を巻き込みながら新たなチャレンジをものにしていく。そうした人材に焦点を当てることで、多くの企業にイノベーションを起こすための人材育成のヒントになれば、これほど嬉しいことはありません。

本プロジェクトを運営しているのは、一般社団法人日本能率協会です。私たちは、1942年の創立以来マネジメントに関わる調査・研究を通して産業界の経営革新を推進してきました。そして2011年より「人の成長、組織の活性化、組織の社会性」を同時に向上する運動をKAIKA(カイカ)と呼び、経営の新たな思想として提唱しています。
これまで組織の戦略として「人の成長」「組織の活性化」あるいは「ダイバーシティ」や「CSR」などを取り上げる、あるいは重視するということはありましたが、KAIKAの思想では、それらは戦略で取り上げるかどうかではなく、社会価値の創造や個人の成長、組織の活性化を同時に向上させることを前提にした上で、どのような組織の方向性が明示できるかが重要になってきます。
KAIKAの考え方は、原理原則、あるいは青臭い議論のように聞こえるかもしれませんが、ある意味では個人に自律性を求め、常に社会感度を持ち、開放的な組織マネジメントによるイノベーティブな姿勢が求められるものでもあります。

経営のレベルにおいては、様々な分析やツールを用いて自社を正しくポジショニングしたとしても、新たな方向性やアイデアは出てきません。事業のレベルにおいても、既存のビジネスモデルを改善・拡大の努力をしながらも、抜本的な改革やイノベーションを模索し続けなければなりません。業務レベルにおいても定型的な業務をキッチリと進めるだけではなく、創造的な業務、構造改革的な業務について試行錯誤し続ける必要があります。
つまり、経営から業務のレベルまで、PDCAを回し、計画立てられたものを精緻に実行するだけではなく、常に新しい課題を予見し、探索的に思考、行動することが同時に求められる時代でもあります。
社内における効率性向上が、競争優位性を生んだ時代は終わり、効率性向上活動をベースにしながらも、社外に対する効果性の向上が必要であり、そこに人材という経営資源を投入できていることが競争優位を生む時代なのです。